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『ほととぎす』落掌、まず体裁の以[#「以」に「(ママ)」の注記]外によろしく満足致し候《そうろう》。実は小生は今少しケチな雑誌ならんと存じ「反古籠《ほごかご》」なども少き方|宜《よろ》しからんとわざと少く致し候|処《ところ》甚だ不体裁にて御気毒に存《ぞんじ》候。さて編輯の体裁に就きて議すべきこと少からず、乍失敬《しっけいながら》アア無秩序にては到底《とうてい》田舎雑誌たるを免かれず候。
 第一俳諧随筆類と祝詞と前後したることは不体裁の極《きわみ》也。最初に発刊の趣旨を置き、次に祝詞祝句を載せ、その次に随筆類その次に俳句などにて宜しかるべくと存候。
 発刊の趣旨は色紙を用いざる方よろし。色紙を用いるならば祝詞祝句と随筆類との中間に挿《はさ》むかまたは他の文と募集句との中間に挿むかしてその上は募集句広告ばかりにてものせたし。
 第二募集句の第五等を四分詰にしたるも苦しそう也。これは小生兼て申上置《もうしあげおき》候通り多ければ下より御削り可相成《あいなるべく》候。御忘れありしか如何。もし出来得べくんば四等以上にも出たる人の句を削り、その外のかつかつ五等及第の句
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