がっていたが、日本に帰って勉強するために、お祖母さんと、妹と三人で、私が犬に吠《ほ》えられて茄子《なす》を折った邸《やしき》の、すぐ隣りの大きな家に住んでいた。
クラスのうちで一番|身体《からだ》が大きく、一番勉強もできたので、ずウッと級長をしていた。
林と私はそれまで一緒に遊んだりしたことはなかったが、いつもニコニコしている子だから嫌いではなかった。力の強い子で、朝、教室の前で同級生たちを整列させているとき、級長の号令をきかないで乱暴する子があると、黙って首ッ玉と腕をつかんでひっぱってくる。そんなときもやはりわらっていた。
林が私のために、邸《やしき》の奥さんに詫《わ》びてくれてから、私は林が好きになった。そして林が奥さんに言ったように、私達はほんとに友達になった。私が林の家へいって、林の妹と三人で「兵隊将棋」をしたり、百人一首をしたり、饅頭《まんじゅう》など御馳走《ごちそう》になったりしたことがあるが、たいていは林が私の家へくる方が多かった。だって私は妹の守《も》りをすることもあるし、忙がしいのだから、一緒になるにはそれより方法がないからだ。
ときどきは、私と一緒にこんにゃ
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