まるいような
春の ひるすぎ
きたないこどもが
くりくりと
めだまをむいて こっちをみてる

豚《ぶた》

この 豚だって
かわいいよ
こんな 春だもの
いいけしきをすって
むちゅうで あるいてきたんだもの



もじゃもじゃの 犬が
桃子の
うんこ[#「うんこ」に傍点]を くってしまった

柿《かき》の葉

柿の葉は うれしい
死んでもいいといってるふうな
みずからを無《な》みする
その ようすがいい



めを つぶれば
あつい
なみだがでる



あの 雲は くも
あのまつばやしも くも

あすこいらの
ひとびとも
雲であればいいなあ

お銭《あし》

さびしいから
お銭を いじくってる

水や草は いい方方《かたがた》である

はつ夏の
さむいひかげに田圃《たんぼ》がある
そのまわりに
ちさい ながれがある
草が 水のそばにはえてる
みいんな いいかたがたばかりだ
わたしみたいなものは
顔がなくなるようなきがした



天というのは
あたまのうえの
みえる あれだ
神さまが
おいでなさるなら あすこだ
ほかにはいない

秋のひかり

ひかりがこぼれてくる
秋のひかり
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