貧しき信徒
八木重吉

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)母の瞳《ひとみ》

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)もう子供|等《ら》はねている

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)すすき[#「すすき」に傍点]
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母の瞳《ひとみ》

ゆうぐれ
瞳をひらけば
ふるさとの母うえもまた
とおくみひとみをひらきたまいて
かわゆきものよといいたもうここちするなり

お月見

月に照らされると
月のひかりに
こころがうたれて
芋《いも》の洗ったのや
すすき[#「すすき」に傍点]や豆腐《とうふ》をならべたくなる
お月見だお月見だとさわぎたくなる

花がふってくると思う

花がふってくると思う
花がふってくるとおもう
この てのひらにうけとろうとおもう



つまらないから
あかるい陽《ひ》のなかにたってなみだを
ながしていた



こころがたかぶってくる
わたしが花のそばへいって咲けといえば
花がひらくとおもわれてくる



ひかりとあそびたい
わらったり
哭《な》いたり
つきとばしあったりしてあそびたい

母を
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