は地におちてひろがる
このひかりのなかで遊ぼう



月にてらされると
ひとりでに遊びたくなってくる
そっと涙をながしたり
にこにこしたりしておどりたくなる

かなしみ

かなしみを乳房《ちぶさ》のようにまさぐり
かなしみをはなれたら死のうとしている

ふるさとの川

ふるさとの川よ
ふるさとの川よ
よい音《おと》をたててながれているだろう

ふるさとの山

ふるさとの山をむねにうつし
ゆうぐれをたのしむ



どこかに
本当に気にいった顔はないのか
その顔をすたすたっと通りぬければ
じつにいい世界があるような気がする

夕焼

いま日が落ちて
赤い雲がちらばっている
桃子と往還《おうかん》のところでながいこと見ていた

冬の夜

皆《みんな》が遊ぶような気持でつきあえたら
そいつが一番たのしかろうとおもえたのが気にいって
火鉢の灰を均《な》らしてみた

麗日《れいじつ》

桃子
また外へ出て
赤い茨《いばら》の実《み》をとって来ようか



ながいこと考えこんで
きれいに諦《あきら》めてしまって外へ出たら
夕方ちかい樺色《かばいろ》の空が
つめたくはりつめた
雲の間《あいだ》に
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