草をむしっているだけになってくる

童《こども》

ちいさい童が
むこうをむいてとんでゆく
たもとを両手でひろげて かけてゆく
みていたらば
わくわくと たまらなくなってきた

雨の日

雨が すきか
わたしはすきだ
うたを うたおう

蟻《あり》

蟻のごとく
ふわふわふわ とゆくべきか
おおいなる蟻はかるくゆく

大山とんぼ

大山とんぼを 知ってるか
くろくて 巨《おお》きくて すごいようだ
きょう
昼 ひなか
くやしいことをきいたので
赤んぼを抱《だ》いてでたらば
大山とんぼが 路《みち》にうかんでた
みし みし とあっちへゆくので
わたしもぐんぐんくっついていった



虫が鳴いてる
いま ないておかなければ
もう駄目《だめ》だというふうに鳴いてる
しぜんと
涙がさそわれる

あさがお

あさがおを 見
死をおもい
はかなきことをおもい

萩《はぎ》

萩がすきか
わたしはすきだ
持って 遊ぼうか

西瓜《すいか》を喰《く》おう

西瓜をくおう
西瓜のことをかんがえると
そこだけ明るく 光ったようにおもわれる
はやく 喰おう

こうじん虫

ふと
とって 投げた
こうじ
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