金色《きん》の 葉の おごそかに
ああ、こころ うれしい 煉獄の かげ
人の子は たゆたひながら
うらぶれながら
もだゆる日 もだゆるについで
きわまりしらぬ ケーオスのしじまへ
廓寥と 彫られて 燃え
焔々と たちのぼる したしい風景
哀しみの海
哀しみの
うなばら かけり
わが玉 われは
うみに なげたり
浪よ
わが玉 かへさじとや
雲
くものある日
くもは かなしい
くもの ない日
そらは さびしい
在る日の こころ
ある日の こころ
山となり
ある日の こころ
空となり
ある日の こころ
わたしと なりて さぶし
幼 い 日
おさない日は
水が もの云ふ日
木が そだてば
そだつひびきが きこゆる日
痴寂な手
痴寂《ちせき》な手 その手だ、
こころを むしばみ 眸《め》を むしばみ
山を むしばみ 木と草を むしばむ
痴寂な手 石くれを むしばみ
飯を むしばみ かつをぶしを むしばみ
ああ、ねずみの 糞《ふん》さへ むしばんでゆく
わたしを、小《ち》さい 妻を
しづかなる空を 白い雲を
痴寂な手 おまへは むさぼり むし
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