オ、湧き上り、
おもむろに、肩をばいからせ、おそろしや、
彼等の穿けるズボンさへ、むツく/\とふくれます。

さて彼等、禿げた頭を壁に向け、
打衝《ぶちあ》てるのが聞こえます、枉がつた足をふんばつて
彼等の服の釦《(ボタン)》こそ、鹿ノ子の色の瞳にて
それは廊下のどんづまり、みたいな眼付で睨めます。

彼等にはまた人殺す、見えないお手《てて》がありまして、
引つ込めがてには彼等の眼《め》、打たれた犬のいたいたし
眼付を想はすどす黒い、悪意を滲《にじ》み出させます。
諸君はゾツとするでせう、恐ろし漏斗に吸込まれたかと。

再び坐れば、汚ないカフスに半ば隠れた拳固《げんこ》して、
起《た》たさうとした人のこと、とつくり思ひめぐらします。
と、貧しげな顎の下、夕映《ゆふばえ》や、扁桃腺の色をして、
ぐるりぐるりと、ハチきれさうにうごきます。

やがてして、ひどい睡気が、彼等をこつくりさせる時、
腕敷いて、彼等は夢みる、結構な椅子のこと。
ほんに可愛いい愛情もつて、お役所の立派な室《へや》に、
ずらり並んだ房の下がつた椅子のこと。

インキの泡がはねツかす、句点《コンマ》の形の花粉等は、
水仙
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