スらす所為を云ふものぞ、おゝ穢らはしい狂人等、
折も折かの癩が、こんなやさしい肉体を啖《くら》はんとするその時に……
※[#ローマ数字8、1−13−28]
さて彼女に、ヒステリックな錯乱がまたも起つて来ますといふと
彼女は目《ま》のあたり見るのです、幸福な悲愁の思ひに浸りつつ、
恋人が真つ白い無数のマリアを夢みてゐるのを、
愛の一夜の明け方に、いとも悲痛な面持《おももち》で。
※[#始め二重括弧、1−2−54]御存じ? 妾《あたし》が貴方を亡くさせたのです。妾は貴方のお口を心を、
人の持つてるすべてのもの、えゝ、貴方のお持ちのすべてのものを
奪つたのでした。その妾は病気です、妾は寝かせて欲しいのです
夜《よ》の水で水飼はれるといふ、死者達の間に、私は寝かせて欲しいのです
※[#始め二重括弧、1−2−54]妾は稚《わか》かつたのです、キリスト様は妾の息吹をお汚しなすつた、
その時妾は憎悪《にくしみ》が、咽喉《のど》までこみあげましたのです!
貴方は妾の羊毛と、深い髪毛に接唇《くちづけ》ました、
妾はなさるがまゝになつてゐた……あゝ、行つて下さい、その方がよろしいのです、
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