男の方々《かたがた》は! 愛情こまやかな女といふものが
汚い恐怖《おそれ》を感《おぼ》える時は、どんなにはぢしめられ、
どんなにいためられるものであるかにお気付きならない
又貴方への熱中のすべてが不品行《あやまち》であることにお気付きならない!

※[#始め二重括弧、1−2−54]だつて妾の最初の聖体拝受は取行はれました。
妾は貴方の接唇《くちづけ》を、お受けすることは出来ません、
妾の心と、貴方がお抱きの妾のからだは
エス様の腐つた接唇でうよ/\してます!※[#終わり二重括弧、1−2−55]

     ※[#ローマ数字9、1−13−29]

かくて敗れた魂と悲しみ悶える魂は
キリストよ、汝が呪詛の滔々と流れ流れるを感ずるのです、
――男等は、汝が不可侵の『憎悪』の上に停滞《とどま》つてゐた、
死の準備のためにとて、真正な情熱を逃れることにより、

キリストよ! 汝永遠の精力の掠奪者、
父なる神は二千年もの間、汝が蒼白さに捧げしめ給うたといふわけか
恥と頭痛で地に縛られて、
動顛したる、女等のいと悲しげな額をば。
[#改ページ]

 酔ひどれ船


私は不感な河を下つて行つたのだ
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