[#地から12字上げ]千八百六十八年十一月六日
[#地から7字上げ]シャルルヴィル公立中学通学生
[#地から5字上げ]ランボオ・アルチュル
[#地から1字上げ]シャルルヴィルにて、千八百五十四年十月二十日生
[#改ページ]

 2 天使と子供


ながくは待たれ、すみやかに、忘れ去られる新年の
子供等喜ぶ元日の日も、茲《(ここ)》に終りを告げてゐた!
熟睡《うまい》の床《とこ》に埋もれて、子供は眠る
羽毛《はね》しつらへし揺籠《ゆりかご》に
音の出るそのお舐子《しやぶり》は置き去られ、
子供はそれを幸福な夢の裡にて思ひ出す
その母の年玉貰つたあとからは、天国の小父さん達からまた貰ふ。
笑ましげの脣《くち》そと開けて、唇を半ば動かし
神様を呼ぶ心持。枕許には天使立ち、
子供の上に身をかしげ、無辜《(むこ)》な心の呟きに耳を傾け、
ほがらかなそれの額の喜びや
その魂の喜びや。南の風のまだ触れぬ
此の花を褒め讃へたのだ。

※[#始め二重括弧、1−2−54]此の子は私にそつくりだ、
空へ一緒に行かないか! その天上の王国に
おまへが夢に見たといふその宮殿はあるのだよ、
おまへはほんとに
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