立派だね! 地球|住《ずま》ひは沢山だ!
地球では、真《しん》の勝利はないのだし、まことの幸《さち》を崇《(あが)》めない。
花の薫りもなほにがく、騒がしい人の心は
哀れなる喜びをしか知りはせぬ。
曇りなき怡《(よろこ)》びはなく、
不慥《(ふたし)》かな笑ひのうちに涙は光る。
おまへの純な額とて、浮世の風には萎むだらう、
憂き苦しみは蒼い眼を、涙で以て濡らすだらう、
おまへの顔の薔薇色は、死の影が来て逐ふだらう。
いやいやおまへを伴れだつて、私は空の国へ行かう、
すればおまへのその声は天の御国《みくに》の住民の佳い音楽にまさるだらう。
おまへは浮世の人々とその騒擾《どよもし》を避けるがよい。
おまへを此の世に繋ぐ糸、今こそ神は断ち給ふ。
ただただおまへの母さんが、喪の悲しみをしないやう!
その揺籃を見るやうにおまへの柩《(ひつぎ)》も見るやうに!
流る涙を打払ひ、葬儀の時にもほがらかに
手に一杯の百合の花、捧げてくれればよいと思ふ
げに汚れなき人の子の、最期の日こそは飾らるべきだ!※[#終わり二重括弧、1−2−55]

いちはやく天使は翼を薔薇色の、子供の脣に近づけて、
ためらひもせ
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