れさうなところを思ひ出す。(なんだツけ……)とあわてゝ本を繰つてみる。英語へ、数学へ、国語へ、自研へと一つの頭は四方へちつて結局どれもおぼえさせない。
日もないし、する事は山程、いゝ加減暑さも手伝つて、私は毎日針のむしろに坐つてゐるやうに、ぢれるばかりで落着けなかつた。
もと/\あまり鋭くない頭だから、吉田先生にも申し訳ないほど、どれもまとまらない。その中に欠員が出来てムリな復校だけは免れることが出来た。しかし、それに対する志願者、すなはち、私に対する競争相手も出来たわけだ。特別なお計らひで、私一人は皆と別に簡単なテストでいゝことにして下つた。
だのに、テストの成績はふた眼とみられないほど、我ながらひどいものであつた。私は全く、あのときのことを思ふとゾツとする。吉田先生にあれだけ教へて頂いて……ムリな復校をおねがひして……それだけでも抜群の成績をとらなければならないところを、更に特別やさしいテストをして頂きながら、あの醜態……私は日の目も仰げぬ心地だつた。
始業式の日、井上先生(受持の)が、「普通の編入でしたら、とても這入れない成績でしたが……」とおつしやつたときには、泣き出し
前へ
次へ
全12ページ中10ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
平山 千代子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング