転校
平山千代子
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)自暴自棄《ヤケクソ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)わかつた[#「わかつた」に傍点]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)とても/\いやだつた
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
誰にとつてもいやなのは転校である。
私は二年になる時に仙台から東京へ、東京で小学校を卒業して、女子大の附属へ入り、その年の九月に名古屋へ、翌年の九月に又、女子大へと、四度、いやな思ひをした。中でも最もいやな思ひ出を残したのが、女学校に這入つてからの二つ、名古屋へと、東京へとである。小学校のときの転校は、それ程、苦痛を感じないうちに、すぐ馴れてしまふが、女学校へ這入つてのちの転校はずい分つらかつた。東京から名古屋への時は殊に、折角、勉強してやつと這入り、やうやく学校にも、お友達にもなれ始めたばかりの時だつたから、とても/\いやだつた。
最初から私は反対で、「一人だけでも、おばあ様のところに残る」と頑張つてきかなかつたのだが、九月も間際になつて、ど
次へ
全12ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
平山 千代子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング