学校の命ずるまゝをやつてゐる人よりはるかに劣つてゐた。偉さうなことを考へ、又言ひながら、私は云へば云ふだけ、叫べば叫ぶだけ後退してゐたのだ。自暴自棄《ヤケクソ》だつたから勉強はしない。従つて出来ない。髪は結ぶなんてうるさいこつた。切つてしまふ。制服制帽にしろなどは、今の世に非合理だと、今迄のセーラーにランドセルで押し通す。
 何が偉いといふんだ!
 みんなは何と思つたらう。(生意気な青二才奴、親の威光を笠にきて勝手なことをする。それになんだ! 局長の子なら、もう少し出来さうなもんだ)と云つたかもしれぬ。(女子大、女子大つてあんな奴が来る様ぢや大したことはない)と笑つたかもしれぬ。
 私が偉さうに云つたことは、反つて私の青さをふれまわすに役立つただけだつた。それのみか、お父様、お母様、女子大迄を悪く言はせてしまつた。ほんたうに私は面汚しの青二才であつた。何とお詫びしてよいか……お父様やお母様は、別に局長の顔にかけて勉強しろなんて、只の一度だつておつしやつたことはない。私が猖紅熱で長く休んでしまつたため、数学に丙をとつて来たときも、眉毛一本お動かしにならなかつたんだもの……けど、だから尚恥
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