すぎになる。
「悪くならない様に/\」と注意しすぎては、規則のレベルは段々低下して行くものだ。全体を統一するといふ意味で、性善説にあつた規則のレベルは、悪い者を出さぬために性悪説へと下つてしまふ。
「人間の性は悪なるもの……」として、最悪の場合まで用意しておけば、安全ではあらうが、進歩はないだらうと思ふ。最低の所へ行けば止まるかもしれぬが、それでは伸びようとする熱意、少しでも向上しようとする活力、といふか、生気といふか、さういふものの伸びる余地がない。
たとへて云ふなら「ハンケチは白の木綿たるべし……」といふ。皆が白をもつてゐれば、あんな規則は生れないですむ。だのに中の何人かゞいつまでも赤いハンケチを止めないから規則としてつくらねばならない。
すべての規則は、さういふ為におこなはれてゐる。私は、ヤケクソだつた上に生意気心をおこしたから、こんなにハツキリと――ではないが、S校のかういふ点に不満を抱いてゐた。学課は虎の巻をうつして行つて、お時間中黙つてきいて、試験の前には棒暗記さへすればいゝ。S校のやり方はさういふ式だつた。
私は前にも云ふ様に生意気で、悪いと思つたら、後先の分別もな
前へ
次へ
全12ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
平山 千代子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング