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私は、その甚だしきものだつた。たうとう学校へ行くのが苦痛になつた。皆のいふ言葉がわからないのと、乱暴なのは、私の学校嫌ひをます/\あふり立てる。その上に、自治精神を尊ぶ女子大から、強制……といふのかしら……従来の意味での、良妻賢母型にはめ込まうとするやうなS校への転校なんだから、私はクサつてしまつた。
「何々すべし、何々すべからず」学校の生活がすべて、この定規によつてあてはめられてゐる。頭の先から、爪の先までが、すべて規則でつくられてゐる。規則、規則、規則の一点張り……少くとも私にはさう見えた。
髪は三年以上のものはむすぶこと、上衣は長さ何センチ、スカートのひだはいくつ、靴下、カバンは黒、何んだ、かんだと微に入り細を穿つてゐる。規律、それは大切だ。多くの人が学校といふ一つの団体をなして、すゝまうとするのには秩序といふものが大事だ。規則も、とりしまりの為には必要だ。だが、それだけでいゝだらうか。
個々の創意を全然無視してもいゝだらうか。規則で全体を統一するのはよいが、規則が或る一部の違反者をとりしまる為にのみ、ふえて行くやうだと、規則は人の個性や創意を無視する、いはゆる、しばり
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