の上に組み合せて眠つてゐる。
それだから己の口から今諸君にあれが身上話をしなくてはならぬことになつた。そこで己、ロレンツオ・ヰラミは諸君にことわつて置くが、己の話すのは、己の確かに知つてゐる事でほ無い。只あれが不思議な死を説明するために、己の推察したあれが生涯である。只或る夜、幹の赤い縦の木の林で、己の友人のヱネチア人、バルタザル・アルドラミンが己に囁いだやうに思はれた伝記である。
――――――――――――
ロレンツオや、聞いてくれ。或る日の事であつた。己(バルタザル)は情人バルビさんと一しよにスキアヲニ河の岸に立つてゐた。バルビさんは日の当たる所にゐるのが好きだつた。それは髪が金色をしてゐて、それが日に照されると、美しく光るからだ。その光るのが己の気に入ると思つてゐたからだ。なんでも自分の美しい所を己に見せて、己に気に入るやうにと努めてゐたのだ。そこでなる丈久しく日の当たる所にゐようと思つて、自分のまはりを飛び廻つてゐる鳩に穀物を蒔いて遣るのが面白いと云つた。バルビさんの手から散る粒は、金色の雨が降るやうに見えた。併し己にはバルビさんは容色が余り気に入つてゐなかつたので
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