ヘ私を護り給ふこと、君を護り給ふに同じかるべく候。アントニオ[#「アントニオ」に傍線]の君よ、さきには我を思ひ棄て給へと申候へども、未錬ともおぼさばおぼせ、猶親しかりし人のみまかりしを思ひ給ふが如く、我を思ひ給はんことのみは望ましく存※[#「まいらせそろ」の草書体文字、145−中−19]。
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 涙は讀むに隨ひて流れ、わが心の限の涙と化して融け去るを覺えたり。此より下は、かすかなる薄墨の痕猶|新《あらた》にして、數日前に寫されしものと知らる。
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苦を受くる月日も最早|些子《ちと》を餘し候のみと存※[#「まいらせそろ」の草書体文字、145−中−25]。今まで受けつるあらゆる快樂の聖母の御惠なると等しく、今まで受けつるあらゆる苦痛も亦聖母の御惠と存※[#「まいらせそろ」の草書体文字、145−中−27]。死は既に我胸に迫り候。血は我胸より漲り流れ候。いま一囘轉して漏刻の水は傾け盡され申すべく候。人の傳へ候ところに依れば、ヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]第一の美人は君がいひなづけの妻となり居候由に候。私の死に臨みての願は、御二人の永く幸福を享《う
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