tけ給はんことのみに候、あはれ、此數行の文字を托すべき人は、その人ならで又誰か有るべき。その人の私の請《こひ》を容れて、こゝに來給ふべきをば、何故か知らねど、牢《かた》く信じ居※[#「まいらせそろ」の草書体文字、145−下−8]。生死の境に浮沈し居る此身の、一杯の清き水を求むべき手は、その人の手ならではと存※[#「まいらせそろ」の草書体文字、145−下−10]。さらば/\、アントニオ[#「アントニオ」に傍線]の君よ。私の此土に在りての最終の祈祷、彼土に往きての最初の祈祷は、君が御上と、私の徒《いたづ》らに願ひてえ果さず、その人の幸ありて成し遂げ給ふなる、君が偕老の契《ちぎり》の上とに在るのみなることを、御承知下され度存※[#「まいらせそろ」の草書体文字、145−下−15]。今更|繰言《くりごと》めき候へども、聖母の我等二人を一つにし給はざりしは、其故なからずやは。私は世人にもてはやされ讚め稱《たゝ》へられて、慢心を増長し居候ひぬれば、君にして當時私を娶《めと》り給ひなば、君の生涯は或は幸福を完うし給ふこと能はざりしにあらずやと存※[#「まいらせそろ」の草書体文字、145−下−21]。さ
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