v、第3水準1−15−68]《たうろ》の女をして良酒を供せしめ、續けさまに數杯を傾けて、此自然の活劇を翫《もてあそ》べり。忽ちポツジヨ[#「ポツジヨ」に傍線]の聲を放ちて歌ふを聞きつ。其曲は嘗て此地に來りしとき舟中にありて聞きしと同じき戀の歌なり。われ杯を擧げて、ヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]の美人の健康のために飮まんと云へば、ポツジヨ[#「ポツジヨ」に傍線]、さらば我は羅馬の美人のために飮まんと云ふ。若し相識らぬ人の、我等の狂態を見たらんには、定めて尋常時《つねのとき》に及びて行樂する徒《ともがら》となすなるべし。ポツジヨ[#「ポツジヨ」に傍線]のいふやう。女子の美は羅馬に若《し》くはなし。君はいかにおもひ給ふか。憚《はゞか》ることなく答へ給へ。われ。そは我が首肯する所なり。ポツジヨ[#「ポツジヨ」に傍線]。さもあるべし。されど伊太利第一の美人は此ヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]にこそあれ。憾むらくは君未だ市長《ボデスタ》の女を見給はず。清楚なること此の如きは、世の絶て無くして僅に有るところにして、これをや精神上の美とは云ふべき。若しカノワ[#「カノワ」に傍線]にして此女を
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