ッりたらましかば、その三美《ハリテス》の像の最も少きをば、必ず此女の姿によりて摸し成ししならん。(カノワ[#「カノワ」に傍線]は彫匠《てうしやう》なり。ポツサニヨ[#「ポツサニヨ」に二重傍線]に生れヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]に歿す。三美の像は獨逸ミユンヘン[#「ミユンヘン」に二重傍線]に在り。)われは嘗て晩餐式ありしとき、寺院にて見、又|聖摩西《サン、モセス》の劇場にて一たび見たり。その高根の花に似て、仰ぎ看るだに容易《たやす》からぬを恨むものは、獨り我のみにはあらず。おほよそヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]の少年紳士にして同じ恨を抱かぬはあらざるならん。只だ人々と我と相異なるは、彼は懸想《けさう》し我は懸想せざるのみ。我俗眼もて見れば、彼人は餘りに天人めきたり。されど天人は崇拜の對象とすべきならん。「アバテ」はいかに思ひ給ふといふ。われは此語を聞いて、フラミニア[#「フラミニア」に傍線]の事を思ひ出し、喜の色は我面より消え失せたり。ポツジヨ[#「ポツジヨ」に傍線]。酒は好し。風波は我|筵《えん》の爲めに歌舞す。いかなれば君|愁《うれひ》の色を見せ給ふぞ。われ。市長《ボデ
前へ
次へ
全674ページ中587ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
森 鴎外 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング