ト、われは手をもてこれを摸することを敢てしたるに、その堅くして冷なること石の如くなりき。摸して後邊に至れば、手は堅く滑なる大壁に觸る。その色は暗碧なること夜の天色の如し。
そも/\われは何處にか在る。前に身下に積氣《せきき》ありとおもひしは、燃ゆれども熱からざる水なりき。我四圍を照すものは、彼燃ゆる水なるか、さらずば彼穹窿と巖壁と皆自ら光を放つものなるか。こは幽冥の境なるか、わが不死の靈魂の宅なるか。われは現世に此の如き境ありとおもふこと能はず。凡そ身邊の物、一として深淺種々の碧光を放たざることなく、我身も亦内より碧火を發して、その光明は十方を照すものの如し。
身に近き處に大石級あり。琅※[#「王+干」、第3水準1−87−83]《らうかん》もて削《けづ》り成せるが如し。これに登らんと欲すれば、巖扉|密《みつ》に鎖して進むべからず。推《すゐ》するに、こは天堂に到る階級《きざはし》にして、其門扉は我が爲めに開かざるならん。我は一人の怒を齎《もたら》して地下に入りぬ。ジエンナロ[#「ジエンナロ」に傍線]はいかにしたるぞ、又二人の舟人はいかにしたるぞ。
われは獨り此境に在り。我母を懷《お
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