A彼の光ある碧色の※[#「さんずい+景+頁」、第3水準1−87−32]氣《かうき》のこれを繞《めぐ》れる状《さま》は、前《さき》に見しと殊なることなし。天は碧穹窿をなして我を覆ひ、怪しき圓錐形の雲ありてこれに浮べり。雲の色は天と同じく碧《あを》かりき。四邊|寂《せき》として音響なく、天地皆墓穴の靜けさを現ず。われは寒氣の骨に徹するを覺えたり。われは徐《しづ》かに頭を擡《もた》げたり。我衣は青き火の如く、我手は磨ける銀《しろかね》の如し。されどこの怪しき身の虚《むなし》き影にあらずして、實《じつ》なる形なるは明《あきらか》なりき。我は疲れたる腦髓に鞭うちて、強ひて思議せしめんとしたり。われは眞に既に死したるか、又或は猶生けるか。われは手を展《の》べて身下の碧氣を探りしに、こは冷なる波なりき。されどその我手に觸れて火花を散らす状《さま》は、酒精《アルコール》の火に殊ならず。我側には怪しき大圓柱あり。その形は小なれども、略《ほ》ぼ前《さき》に見つる龍卷に似て、碧き光眼を射たり。こはわが未だ除《のぞ》かざる驚怖の幻出する所なるか、將た未だ滅《き》えざる記念の化現《けげん》する所なるか。暫しあり
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