髏l、驢《うさぎうま》に騎る人、車を驅る人など絶えず往來して、その間には男女《なんによ》打ち雜りたる旅人の群の一しほの色彩を添ふるあり。
初めわれはエルコラノ[#「エルコラノ」に二重傍線]もポムペイ[#「ポムペイ」に二重傍線]も深く地の底に在りと思ひき。されど其實は然らず。古のポムペイ[#「ポムペイ」に二重傍線]は高處に築き起したるものにして、その民は葡萄圃のあなたに地中海を眺めしなり。われ等は漸く登りて、今暗黒なる燼餘の灰壘を打ち拔きたる洞穴の前に立てり。洞穴の周圍には灌木、草綿など少しく生ひ出でゝ、この寂しき景に些《いさゝか》の生色あらせんと勉《つと》むるものゝ如し。われ等は番兵の前を過ぎて、ポムペイ[#「ポムペイ」に二重傍線]の市《まち》の口に入りぬ。
博士マレツチイ[#「マレツチイ」に傍線]は我等を顧みて、君等は古のタチツス[#「チツス」に傍線]をもプリニウス[#「プリニウス」に傍線]をも讀み給ひしならん、凡そ此等の書《ふみ》の最も好き註脚は此市なりと云ひたり。われ等の進み入りたる道を墳墓街と名づく。許多《あまた》の石碣《せきけつ》並び立てり。二碑の前に彫鏤《てうる》したる
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