uベルナルドオ」に傍線]が姫を得んと欲せしは卑陋《ひろう》なる色慾にして、縱《たと》ひ渠《かれ》一たびその願の成らざるを憂ふとも、渠は月日を費すことなくして、その失望を慰めその遺憾を忘れしならん。わが情はいと高くいと深くして、われ若し姫を獲たらんには、此世の中には最早何の欲望をも殘さゞりしならん。さるを姫は我を棄てゝ渠を取りたり。我|黄金《こがね》なす夢は一旦にして塵芥となり畢《をはん》ぬ。こはそもいかなる故ぞや。此煩惱の間、我は忽ち「キタルラ」の音の街上に起るを聞く。見下せば肩に輕く一領の外套を纏ひて、手に樂器を把《と》り、戀の歌の一曲を試みんとする男あり。未だ數彈ならざるに、對《むか》ひの家の扉は響なくして開《あ》き、男の姿は戸に隱れぬ。想ふに此人を待つものは、優しき接吻と囘抱となるべし。われは星斗のきらめける空を仰ぎ、又熔巖の影處々に紅《くれなゐ》を印したる青海原を見遣りたり。好し々々、我は我戀人を獲たり。我戀人は自然なり。自然よ。汝はわがためにその霽《はれ》やかなる天《そら》を打明けて何の隱すところもなし。汝はそよ吹く風の優しきを送りて、我額我唇に觸るゝことを嫌はず。我は汝が美
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