竅sたてぎん》六百枚は定まりたる身のしろなり。そを六日間に拂ひ給はゞ、君は自由の身なるべく、さらずば君が身は、生きながらか、殺してか、我物とせではおかじ。こは此處の掟《おきて》なれば、君が紅顏も我丹心も、寛假《くわんか》の縁《えにし》とはならぬなるべし。六百枚なくば、我等の義兄弟となりて生きんとも、彼處《かしこ》なる枯井の底にて、相擁して永く眠れる人々の義兄弟となりて終らんとも、二つに一つと思はれよ。身のしろ求むる書をば、友達に寄せ給はんか、又彼歌女に寄せ給はんか。おん身の一撃|媒《なかだち》となりて、二人はその心を明しあひつれば、さばかりの報恩をば、喜びてなすなるべし。斯く語りつゝ、男は又から/\と笑ひて云ふ。廉《やす》き價なり。この宿の客人に、還錢《かんぢやう》のかく迄廉きことは、その例少からん。都よりの馬のしろ、六日の旅籠《はたご》を思ひ給へ。われ。我志をば既に述べたり。我はさる書をも作らざるべく、又君等が夥伴《なかま》にも入らざるべし。男。さて/\強情なる人かな。されどその強情は憎くはあらず。我|彈丸《たま》の汝が胸を貫かんまでも、その心をば讚めて進ずべし。命惜まぬ客人よ。生く
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