ニいふには種々あり。少年の心は物に感じ易しといふに、吾黨がかく累《わずらひ》なく障《さはり》なき世渡するを見て、羨ましとは思はずや。そが上おん身は詩人にて、即興詩もて口を糊せんといふにあらずや。吾黨の自由|不羇《ふき》の境界《きやうがい》を見て心を動すことはなきか。客人試みに此境界を歌ひ給へ。題をば巖穴の間なる不撓《ふたう》の氣象とも曰ふべきならん。客人若しこれを歌はゞ、彼生活といひ性命といふものゝ、樂む可く愛す可きを説かざることを得ぬなるべし。その杯を傾けて、歌ひて我等に聽せ給へ。出來好くば六日の期を一日位は延ばすべしといふ。男は手をさし伸べて、壁上なる「キタルラ」を取りて我に授けつ。賊の群は立ちて我席を繞《めぐ》りたり。
われはそを把《と》りて暫く首を傾けたり。課する所の題は巖穴山野にて、こは我が曾て經歴せざるところなり。前の夜こゝに來し時は、目を掩《おほ》はれたれば甲斐なし。昔見しところを言はゞ、羅馬のボルゲエゼ[#「ボルゲエゼ」に傍線]、パムフイリ[#「パムフイリ」に傍線]の兩苑に些の松林ありしに過ぎず。まことの山とては、幼かりし程ドメニカ[#「ドメニカ」に傍線]が家の窓より
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