w後にぞ、この古跡はあなる。「クラテエグス」、野薔薇などの枝生ひ茂りて、重圈をなせる榻列《たふれつ》の石級を覆へり。山のところどころには深き洞穴あり、石の穹窿あり。皆|草叢《くさむら》に掩《おほ》はれて、迫り視るにあらでは知れ難かるべし。谷のあなたに聳《そばだ》てるはアプルツチイ[#「アプルツチイ」に二重傍線]の山にて、沼澤《せうたく》を限り、この邊の景に、物凄き色を添ふ。あはれ此山の容《かたち》よ。この故址《こし》斷礎の間より望むばかり、人を動すことは、またあらぬなるべし。
 騎者等の我を拉《ひ》き往くは、とある洞窟の一つにて、その入口は石楠《エピゲエア》の枝といろ/\なる蔓艸《つるくさ》とに隱されたり。我等は足を駐《とゞ》めつ。徐《しづ》かに口笛吹く聲と共に、扉を開く響す。再び數級の石磴《せきとう》を下る。數人《すにん》の亂れ語る聲我耳に入りし時、頭に纏《まと》へる布は取り除けられぬ。わが身は大穹窿の裏《うち》に在り。中央なる大卓の上に眞鍮《しんちゆう》の燈二つ据ゑて、許多《あまた》の燈心に火を點じ、逞しげなる大漢《おほをとこ》數人の羊の裘《かはごろも》着たるが、圍み坐して骨牌《か
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