黷スび意を決して俳優の群に投ぜば、多少の發展を見んこと難《かた》からざるべし。ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]畢竟|何爲者《なにするもの》ぞ。その年ごろ姫に近づかんとする心にして、公正なる情ならば、われ決してこれが妨碍《ばうげ》をなさじ。友と我との間に擇《えら》ばんは、一にアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]が寸心に存ず。姫我を取らば友去れかし。友を取らば我|退《ひ》かん。この日われは机に對《むか》ひて書を裁し、これをベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]が許に寄せたり。筆を落すに臨みて舊情を喚び起せば、不覺の涙紙上に迸りぬ。發送せし後は心やゝ安きに似たれど、或は姫を失はんをりの苦痛を想ひ遣りて、プロメテウス[#「プロメテウス」に傍線]の鷲の嘴《くちばし》に刺さるゝ如き念《おもひ》をなし、或は姫に許されて戲場を雙棲のところとなさん日の樂|奈何《いか》なるべきと思ひ浮べて、獨り微笑を催すなど、ほとほど心亂れたる人に殊ならざりき。
燈籠、わが生涯の一轉機
夕の勤行《ごんぎやう》の鐘響く頃、姫と媼とを伴ひて御寺《みてら》の燈籠見に往きぬ。聖ピエトロ[#「ピエトロ」に
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