閨B隊伍をなせる兵士もこれに倣《なら》へり。こゝかしこに立てる人の殘りしは、新教を奉ずる外國人なるべし。アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]は停めたる車の内に跪きて、その美しき目を法皇の面に注げり。われは見るべからざる法雨のこの群の上に降り灑《そゝ》ぐを覺えき。廊の上より紙二ひら翩《ひるがへ》り落つ。一は罪障消滅の符、一は怨敵調伏の符なり。衆人はその片端を得んとてひしめきあへり。鐘の音再び響き、奏樂又起りぬ。われ等の乘れる車の此辻を離るゝとき、ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]が馬、側を過ぎたり。馬上の友はアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]と媼とに禮《ゐや》して、我をば顧みざりき。姫は君が友の色の蒼さよ、病めるにあらずやとさゝやきぬ。われはたゞさることはあらざるべしと答へしが、我心は明に友の面色土の如くなりし所以《ゆゑん》を知りたり。而してわれは我決心の期《ご》到れるを覺えき。
わが姫を慕ふ情は甚だ深し。姫にしてわれを棄てずば、我は一生を此戀に委《ゆだ》ぬとも可なり。われは嘗て我才の戲場に宜《よろし》くして、我|吭《のんど》の喝采を博するに足るを驗《ため》し得たれば、
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