ヘ斑々として雪を被《かぶ》れる如くぞなりぬる。われはこの地點を守りかねて、飛びおるれば、戲奴《おどけやつこ》にいでたちたる男走り來て、手に持てる采配もて、我衣を拂ひ呉れたり。
暫し避けて佇《たゝず》む程に、さきの車又かへり路に我を見て、再び「コンフエツチイ」を投げかけたり。わが未だ迎へ戰ふに遑《いとま》あらざる時、砲聲地に震ひて、くらべ馬始まるをしらせしかば、車は皆狹き横道に入りて、翁と娘とも見えずなりぬ。二人は我を識りたりと覺し。奈何《いか》なる人にかあらん。ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]は今日街に見えざりき。かの翁は其人にて、娘はアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]にはあらずや。
我は街の角に近き椅子に倚りぬ。砲は再び響きて、競馬は街のたゞ中をヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]の廣こうぢさして馳せゆき、荒浪の寄するが如き群衆はその後に隨ひぬ。わが踵《くびす》を旋《めぐら》して還《かへ》らむとするとき、馬よ/\と呼ぶ聲俄に喧《かまびす》しく、競馬の内なる一頭の馬、さきなる埒《らち》にて留まらず、そが儘街を引きかへし來れるに、最早馬過ぎたりと心許しゝ群衆は、あわて騷
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