後者を別本と名づけることにする。
原本は昌林院に葬つた人々のみを載せてゐる。初代日水から九代一鐵まで皆然りである。そして此本には十代を淨本としてゐる。
別本は淨本を歴代の中から除き去つて、代ふるに了蓮を以てしてゐる。これは光照院に葬られた人で、恐らくは江間氏であらう。次が十一代壽阿彌曇※[#「大/周」、第3水準1−15−73]で、此人が始て江間氏から出て遺骸を昌林院に埋めた。
長島氏の事蹟は頗る明《あきらか》でないが、わたくしは長島氏が江間氏と近密なる關係を有するものと推測する。過去帳別本に「貞譽誠範居士、葬于光照院《くわうせうゐんにはうむる》、長島五郎兵衞、□代五郎兵衞實父、□□□月」として「二十日」の下に記してある。四字は紙質が濕氣のために變じて讀むべからざるに至つてゐる。然るにこれに參照すべき戒名が今一つある。それは「覺譽|泰了《たいれう》居士、明和六年|己丑《きちう》七月、遠州舞坂人、江間小兵衞三男、俗名利右衞門、九代目五郎作實祖父、葬于淺草光照院《あさくさくわうせうゐんにはうむる》」と、「四日」の下に記してある泰了である。
試みに誠範の所の何代を九代とすると、江間小兵
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