ら出たばかりの女中こそ好《い》い迷惑である。とうとう四日目の朝飯の給事《きゅうじ》をさせている時、汁椀の中へ栂指《おやゆび》を突っ込んだのを見て、「もう給仕はしなくても好いから、あっちへ行っていておくれ」と云ってしまった。
 食事をしまって、窓から外を見ていると、空は曇っていても、雨の降りそうな様子もなく、却《かえ》って晴れた日よりは暑くなくて好さそうなので、気を晴そうと思って、外へ出た。それでも若《も》し留守にお玉が来はすまいかと気遣って、我家の門口《かどぐち》を折々振り返って見つつ、池の傍《そば》を歩いている。そのうち茅町《かやちょう》と七軒町《しちけんちょう》との間から、無縁坂の方へ行く筋に、小さい橋の掛っている処《ところ》に来た。ちょっと娘の内へ行って見ようかと思ったが、なんだか改まったような気がして、我ながら不思議な遠慮がある。これが女親であったら、こんな隔てはどんな場合にも出来まいのに、不思議だ、不思議だと思いながら、橋を渡らずに、矢張池の傍を歩いている。ふと心附くと、丁度末造の家が溝《どぶ》の向うにある。これは口入《くちいれ》の婆あさんが、こん度越して来た家の窓から、指さ
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