「》に、次第に分かって来ているのである。して見れば、まさか岡田さんに一も二もなく厭《いや》な女だと思われることはあるまい。いや。そんな事は確かに無い。若し厭な女だと思ってお出なら、顔を見合せる度に礼をして下さる筈が無い。いつか蛇を殺して下すったのだってそうだ。あれがどこの内の出来事でも、きっと手を藉して下すったのだと云うわけではあるまい。若しわたしの内でなかったら、知らぬ顔をして通り過ぎておしまいなすったかも知れない。それにこっちでこれだけ思っているのだから、皆までとは行かぬにしても、この心が幾らか向うに通《とお》っていないことはない筈だ。なに。案じるよりは生むが易いかも知れない。こんな事を思い続けているうちに、小桶の湯がすっかり冷えてしまったのを、お玉はつめたいとも思わずにいた。
膳を膳棚にしまって箱火鉢の所に帰って据わったお玉は、なんだか気がそわそわしてじっとしてはいられぬと云う様子をしていた。そしてけさ梅が綺麗《きれい》に篩《ふる》った灰を、火箸で二三度掻き廻したかと思うと、つと立って着物を着換えはじめた。同朋町《どうぼうちょう》の女髪結の所へ往くのである。これは不断来る髪結が
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