]うのは、神話めいていて面白いが、どうもその話はそれぎりでは済みそうにないね」僕は正直に心に思う通りを言った。
「馬鹿を言い給え、未完の物なら、発表しはしないよ」岡田がこう云ったのも、矯飾《きょうしょく》して言ったわけではなかったらしい。しかし仮にそれぎりで済む物として、幾らか残惜しく思う位の事はあったのだろう。
僕は岡田の話を聞いて、単に神話らしいと云ったが、実は今一つすぐに胸に浮んだ事のあるのを隠していた。それは金瓶梅を読みさして出た岡田が、金蓮《きんれん》に逢ったのではないかと思ったのである。
大学の小使上がりで今金貸しをしている末造の名は、学生中に知らぬものが無い。金を借らぬまでも、名だけは知っている。しかし無縁坂の女が末造の妾《めかけ》だと云うことは、知らぬ人もあった。岡田はその一人《いちにん》である。僕はその頃まだ女の種性《すじょう》を好くも知らなかったが、それを裁縫の師匠の隣に囲って置くのが末造だと云うことだけは知っていた。僕の智識には岡田に比べて一日《いちじつ》の長があった。
弐拾《にじゅう》
岡田に蛇を殺して貰った日の事である。お玉はこれまで目で会
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