ケが籠の穴から出ないようにするのだと云った。
女はちょっと考えて、「あの元結《もとゆい》ではいかがでございましょう」と云った。
「結構です」と岡田が云った。
女主人は女中に言い附けて、鏡台の抽斗《ひきだし》から元結を出して来させた。岡田はそれを受け取って、鳥籠の竹の折れた跡に縦横に結び附けた。
「先ず僕の為事はこの位でおしまいでしょうね」と云って、岡田は戸口を出た。
女主人は「どうもまことに」と、さも詞に窮したように云って、跡から附いて出た。
岡田は小僧に声を掛けた。「小僧さん。御苦労|序《ついで》にその蛇を棄ててくれないか」
「ええ。坂下のどぶの深い処へ棄てましょう。どこかに縄は無いかなあ」こう云って小僧はあたりを見廻した。
「縄はあるから上げますよ。それにちょっと待っていて下さいな」女主人は女中に何か言い附けている。
その隙《ひま》に岡田は「さようなら」と云って、跡を見ずに坂を降りた。
――――――――――――――――
ここまで話してしまった岡田は僕の顔を見て、「ねえ、君、美人の為めとは云いながら、僕は随分働いただろう」と云った。
「うん。女のために蛇を殺すと
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