ト《かご》、下に置き並べてある白鳩《しらはと》や朝鮮鳩の籠などを眺めて、それから奥の方に幾段にも積み畳《かさ》ねてある小鳥の籠に目を移した。啼《な》くにも飛び廻るにも、この小さい連中が最も声高《こわだか》で最も活溌であるが、中にも目立って籠の数が多く、賑やかなのは、明るい黄いろな外国|種《だね》のカナリア共であった。しかし猶《なお》好く見ているうちに、沈んだ強い色で小さい体を彩られている紅雀《べにすずめ》が末造の目を引いた。末造はふいとあれを買って持って往って、お玉に飼わせて置いたら、さぞふさわしかろうと感じた。そこで余り売りたがりもしなさそうな様子をしている爺いさんに値を問うて、一つがいの紅雀を買った。代を払ってしまった時、爺いさんはどうして持って行くかと問うた。籠に入れて売るのではないかと云えば、そうでないと云う。ようよう籠を一つ頼むようにして売って貰って、それに紅雀を入れさせた。幾羽もいる籠へ、萎《しな》びた手をあらあらしく差し込んで、二羽|攫《つか》み出して、空籠《からかご》に移し入れるのである。それで雌《めす》雄《おす》が分かるかと云えば、しぶしぶ「へえ」と返事をした。
 末
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