4]《うづ》むることを謀り、且布施金二朱を持つて来たことを告げた。
楊庵は十七歳の時江戸に来て、此寺に寄宿し、名医を尋ねて師事しようとして、遂に蘭軒の門に入つたのである。僕は当時寺にゐたので、楊庵と親しかつた。僕は楊庵に謂つた。「そのお金は和上《をしやう》様に上げなくてはならないのでせうか。」
「さうさな」と楊庵は云つて、顔には横着らしい微笑《ほゝゑみ》が見えた。「小父さんは金を上げなくつても、回向をして下さるかも知れない。」
「それは大丈夫です」と、僕が受け合つた。
僕は程近い天麩羅屋に天麩羅を誂へた。そして飯を炊いた。猫を※[#「やまいだれ+(夾/土)」、第3水準1−88−54]《うづ》め畢《をは》つた時、飯が熟し天麩羅が来た。二人は飽くまで食つた。楊庵は大食の癖があつて、酒を嗜《たし》まなかつた。僕はそれを知つてゐたのである。
楊庵は榛軒の妻に復命した。「猫は長泉寺に葬りました。回向は小父がいたすやうに申して置きました。しかしわたくしは※[#「言+墟のつくり」、第4水準2−88−74]を衝くことが嫌だから申しますが、あの二朱は穴を掘らせた男に天麩羅を買つて食はせて、わたくし
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