ゐる。しかしその何《いづ》れの年にあつたかを詳《つまびらか》にしない。或は蘭軒歿後の事だとも云ふ。わたくしは敢て其時を推窮して戊子の正月とした。按ずるに蘭軒の歿前一二年間の事は、口碑に往々伝へて歿後の事とせられてゐる。彼榛軒|合※[#「丞/巳」、7巻−359−上−9]《がふきん》の時の如きもさうである。榛軒が弟を激※[#「厂+萬」、第3水準1−14−84]した時も亦此類ではなからうか。
然らばわたくしが戊子とするのは何に拠るか。わたくしは霊枢の文に就いて考ふるのである。柏軒は兄を諫むるに霊枢の「陰陽二十五人篇」を引いた。二十五人とは金木水火土の五形を立し、其五色を別つて二十五人とする。木形に上角《しやうかく》、大角、左角、※[#「金+大」、第3水準1−93−3]角《ていかく》、判角あり、火形に上徴《しやうちよう》、質徴、少徴、右徴、質判《しつはん》あり、土形に上宮《しやうきゆう》、大宮、加宮、少宮、左宮あり、金形に上商《しやうしやう》、※[#「金+大」、第3水準1−93−3]商《ていしやう》、左商、大商、少商あり、水形に上羽《しやうう》、大羽、少羽、衆、桎《ちつ》がある。西洋の古い病
前へ
次へ
全1133ページ中584ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
森 鴎外 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング