76]斎の此書牘には、千載の後に墓を訪はれた小野妹子の子、毛野の父毛人よりして外、五人の人物が出てゐる。第一は※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎の子懐之である。
※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎は此旅に倅懐之を連れて行つた。「総而木曾の山水豚児輩感心仕候」と云つてある。「豚児」懐之は此年十八歳であつた。※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎の始て京に上つたのが寛政二年十六歳であつたとすると、懐之の初旅は遅るること二歳であつた。
第二は※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎に神亀の古碑を見せた上野の人長尾春斎である。「草屋の弟子」と註してある。世間若し草屋春斎の師弟を知つた人があるなら、敢て教を請ふ。
第三は福井榕亭である。名は需、字《あざな》は光亨《くわうかう》、一の字は終吉《しゆうきつ》、楓亭の子にして衣笠《いりつ》の兄である。榕亭は前年庚辰に※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎が何事をか交渉した時、すげない返事をした。しかし今親く訪はれては、厚遇せざることを得なかつた。そして前年の事をば「途中之間違」として謝した。※[#「木+夜」、第
前へ
次へ
全1133ページ中379ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
森 鴎外 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング