有之、此所へ来りみるもの有。御蔭森御旅所にて、音楽神供を観するもの有。江戸人と違心を用候事感心いたし候。」
「右之帰路|小野毛人墓《をのけひとのはか》へ参り申候。石槨ふた土上に現れ出(八尺に五尺ほど)有之、内には右之蓋石取除見候へば、小礫を以てつめ有之候。果して右之内に墓志有之事と被存候。八瀬小原辺にて甚幽邃なる山上に御座候。」
「此日御蔭山(これさへ此度はじめて参りし也)より廻りし所、茶屋等一向無之、饑《うゑ》甚し。人窮する時驚人之句あり。肥《こえ》し身の我大はらもひだるさにやせ行やうにおもひけるかな。此一条皆川へ御話可被下候。」
「今日迄両三輩づゝ朝夕書林も参候所、手に取てみる様なる本者《ほんは》一冊といへ共無之候。」
「一切経音義は頼申候。義疏と内経はいまだ見当り不申候。明日坂本山王祭、明々後日葵祭拝見候て、南都へ一先罷越可申と存居候。猶後便可申上候。頓首。四月十四日。狩谷望之。蘭軒先生御前。」

     その百十五

 此辛巳四月十四日の狩谷※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎の書を読んで、最初にわたくしの目を留めたのは、木曾の景を叙して、「一昨年より増り候様に覚申候
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