砂の上に寝転んだ。すぐ上の処に、凌霄《のうぜん》の燃えるような花が簇々《むらむら》と咲いている。蝉が盛んに鳴く。その外には何の音もしない。Pan の神はまだ目を醒《さ》まさない時刻である。僕はいろいろな想像をした。
それからは、僕は裔一と話をしても、裔一の母親の事は口に出さなかった。
*
十五になった。
去年の暮の試験に大|淘汰《とうた》があって、どの級からも退学になったものがあった。そしてこの犠牲の候補者は過半軟派から出た。埴生なんぞのようなちびさえ一しょに退治られたのである。
逸見も退学した。しかしこれはつい昨今急激な軟化をして、着物の袖を長くし、袴の裾を長くし、天を指していた椶櫚《しゅろ》のような髪の毛に香油を塗っていたのであった。
この頃僕に古賀と児島との二人の親友が出来た。
古賀は顴骨《かんこつ》の張った、四角な、赭《あか》ら顔の大男である。安達《あだち》という美少年に特別な保護を加えている処から、服装から何から、誰が見ても硬派中の鏘々《そうそう》たるものである。それが去年の秋頃から僕に近づくように努める。僕は例の短刀の※[#「※」は「きへんに雨に
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