年増が僕に問うた。
「どんな味がしましたか」
「旨《うま》かった」
中年増と女とは二たび目を見合せた。女が二たびあざやかに笑った。歯が二たび光った。土瓶の中のはお茶ではなかったと見える。僕は何を飲んだのだか、今も知らない。何かの煎薬《せんやく》であったのだろう。まさか外用薬ではなかったのだろう。
中年増が女の櫛道具を取って片附けた。それから立って、黒塗の箪笥から袿《かけ》を出して女に被《き》せた。派手な竪縞《たてじま》のお召縮緬《めしちりめん》に紫|繻子《じゅす》の襟が掛けてある。この中年増が所謂《いわゆる》番新というのであろう。女は黙って手を通す。珍らしく繊《ほそ》い白い手であった。番新がこう云った。
「あなたもう遅うございますから、ちとあちらへ」
「寝るのか」
「はい」
「己《おれ》は寝なくても好《い》い」
番新と女とは三たび目を見合せた。女が三たびあざやかに笑った。歯が三たび光った。番新がつと僕の傍に寄った。
「あなたお足袋を」
この奪衣婆《だついばば》が僕の紺足袋を脱がせた手際は実に驚くべきものであった。そして僕を柔かに、しかも反抗の出来ないように、襖のあなたへ連れ込ん
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