クネンボ、ウンシュウミカン、ナツミカン、コウジ、ユズ、ベニミカン、ヤツシロミカン、レモン、マルブシュカン、トウミカン、コナツミカン、オレンジ、サンボウカン、ザボン、キシュウミカン(コミカン)、ポンカン(元来《がんらい》台湾産、九州に作っている所がある)などみなその果実の構造は同一で、いずれも甘汁《かんじゅう》もしくは酸汁《さんじゅう》を含んでいる毛がその食用源をなしているのである。これらミカン類の貴《とうと》さも、つまるところは前述のとおりその果内《かない》の毛に帰《き》するわけだ。
ミカン類の果実は、植物学上果実の分類からいえば漿果《しょうか》と称すべきであるが、なお精密にいえば漿果中《しょうかちゅう》の柑橘果《かんきつか》と呼ぶべきものである。
ミカン類の果実を剥《む》いて見ると、表面の皮がまず容易にとれる。その中には俗にいうミカンの嚢《ふくろ》が輪列《りんれつ》していて、これを離《はな》せば個々に分かれる。そしてその嚢《ふくろ》の中に汁《しる》を含んだ膨大《ぼうだい》せる毛と種子とがあって、その毛はその嚢《ふくろ》の外方の壁面《へきめん》から生じており、その種子は内方の底から
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