植物知識
牧野富太郎

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)率直《そっちょく》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)『植学|啓源《けいげん》』に、

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JISX0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「くさかんむり/亭」、第4水準2−86−48]《てい》)を抽《ひ》いて直立し、
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   まえがき


 花は、率直《そっちょく》にいえば生殖器《せいしょっき》である。有名な蘭学者《らんがくしゃ》の宇田川榕庵《うだがわようあん》先生は、彼の著《ちょ》『植学|啓源《けいげん》』に、「花は動物の陰処《いんしょ》の如《ごと》し、生産|蕃息《はんそく》の資《とり》て始まる所なり」と書いておられる。すなわち花は誠《まこと》に美麗《びれい》で、且《か》つ趣味に富《と》んだ生殖器であって、動物の醜《みにく》い生殖器とは雲泥《うんでい》の差があり、とても比《くら》べものにはならない。そして見たところなんの醜悪《しゅうあく》なところは一点もこれなく、まったく美点に充《み》ち
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