さ》、エビスグスリは夷薬《えびすぐすり》、ともに外国から来たことを示している。カオヨグサは顔美草《かおよぐさ》で、花が美麗《びれい》だから、そういったものであろう。
 元来《がんらい》、芍薬《しゃくやく》の原産地は、シベリアから北満州〔中国の東北地方の北部〕の原野である。はじめシベリアで採《と》った白花品《はっかひん》へ、ロシアの学者のパラスが、Paeonia albiflora Pallas[#「Pallas」は斜体] の学名をつけてその図説を発表したが、満州〔中国の東北地方一帯〕に産するものには、淡紅花《たんこうか》のものが多い。しかしそれは、もとより同種である。種名の albiflora は、白花の意である。
 日本に作っている芍薬《しゃくやく》は、中国から伝わったものであろう。今は広く国内に培養《ばいよう》せられ、その花が美麗《びれい》だから衆人《しゅうじん》に愛せられる。中国では人に別れる時、この花を贈る習慣がある。つまり離別《りべつ》を惜《お》しむ記念にするのであろう。
 芍薬は宿根性《しゅっこんせい》[#ルビの「しゅっこんせい」は底本では「しゅっこんそう」]の草本《そうほ
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