もいわれ、身体の毒を追い出すに使われている。また頭髪《とうはつ》を洗うにも使われ、またあるいは風呂《ふろ》に入れて入浴する人もある。すなわち毒を除くというのが主である。佐渡《さど》ではドクマクリというそうだが、これは毒を追い出す意味であろう。
 この草の中国名は※[#「くさかんむり/(楫のつくり+戈)」、第3水準1−91−28]《しゅう》であるが、ドクダミは今日《こんにち》日本での通名である。これをジュウヤクというのは※[#「くさかんむり/(楫のつくり+戈)」、第3水準1−91−28]薬《じゅうやく》の意、またシュウサイというのは※[#「くさかんむり/(楫のつくり+戈)」、第3水準1−91−28]菜《しゅうさい》の意である。草の臭気《しゅうき》に基《もと》づきイヌノヘドクサといい、その地下茎《ちかけい》は白く細長いからジゴクソバの名がある。またボウズグサ、ホトケグサ、ヘビクサ、ドクグサ、シビトバナなどの各地方言があるが、みなこの草を唾棄《だき》したような称で、畢竟《ひっきょう》不快なこの草の臭気《しゅうき》を衆人《しゅうじん》が嫌《きら》うから、このように呼ぶのである。馬を飼《か》うに
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