ともいわれる。そしてその種名の cernua は点頭《てんとう》、すなわち傾垂《けいすい》の意で、それはその花の姿勢《しせい》に基《もと》づいて名づけたものだ。
[#「オキナグサの図」のキャプション付きの図(fig46821_15.png)入る]
シュウカイドウ
シュウカイドウ、すなわち秋海棠はもと中国原産の植物である。昔|寛永年間《かんえいねんかん》に日本へ渡り来って、いまは各地に繁殖《はんしょく》しているが、しかし多くは栽《う》えられてある。たまに寺の後庭などに野生《やせい》の姿となっている所があれど、これは元《もと》からの野生ではないけれど、人によってはそこに野生があると疑っていることがある。けれどもそれは、まったく思い違いである。
日本では、この中国名の秋海棠を音読《おんどく》したシュウカイドウを、そのまま和名《わめい》にしているが、さらにヨウラクソウ(瓔珞草《ようらくそう》の意)、ナガサキソウ(長崎草の意)の別名があれど、一般にはいわない。
そしてこのヨウラクソウは、花の見立てから来た名、ナガサキソウは、その渡来《とらい》した地に基《もと》づき名づけた
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