富貴花《ふうきか》、天香国色《てんこうこくしょく》、花神《かしん》などの名が呼ばれている。宋《そう》の欧陽修《おうようしゅう》の『洛陽牡丹《らくようぼたん》の記』は有名なものである。
 牡丹は、樹《き》の高さ通常は九〇〜一二〇センチメートルばかりに成長し、まばらに分枝《ぶんし》する。春早く芽が出《い》で、葉は互生《ごせい》して葉柄《ようへい》があり、二回、三回分裂して複葉《ふくよう》の姿をなしている。五月、枝端《したん》に大なる花を開き、花径《かけい》およそ二〇センチメートルばかりもある。花下《かか》にある五|萼片《がくへん》は宿存《しゅくそん》して花後《かご》に残り、八|片《へん》ないし多片の花弁《かべん》ははじめ内《うち》へ抱《かか》え込み、まもなく開き、香《かお》りを放って花後に散落《さんらく》する。花中《かちゅう》に多雄蕊《たゆうずい》と、細毛《さいもう》ある二ないし五個の子房《しぼう》とがあり、子房は花後に乾《かわ》いた果実となり、のち裂《さ》けて大きな種子が露《あらわ》れる。
 多くの年数を経《へ》た古い牡丹にあっては、高さが一八〇センチメートル以上にも達して幹《みき》が太
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